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『火車』(かしゃ)は、宮部みゆきのミステリー小説、およびそれを原作としたテレビドラマ作品、映画作品。 == 概要 == 社会問題としての消費者金融のありかたをテーマとしており、サラリーマン金融やカード破産などの借財と多重債務をめぐる取り立てに翻弄される女の生き様を、彼女のことを追い求める刑事の視点から描く。雑誌『小説推理』に1992年(平成4年)3月号から6月号にかけて連載され、同年7月に双葉社より単行本が出版され、1998年(平成10年)1月に新潮文庫版が出版された。 宮部みゆきによると、まず、最後の一行に犯人が出てくる小説を書こうとした。トリックの関係から「カードローン破産」を題材にした。弁護士事務所の事務員の勤務中に弁護士が企業の破産管財人に5回ほどなったが、その時忙しく、サラ金からの破産人への取り立て電話も聞いた。「休職中の刑事」は考えて設定したのではなく、当時はストーリーがどこからか降りてくるように書いていて、そのままの形で出てきた。後で聞くと先行例は無かった。〔『だからミステリーは面白い〜気鋭BIG4対論集』1995年、有學書林〕構想中に水木しげるの本を読み、出てきた「火車」という言葉から、題名にした。ラストへの犯人の書き方は、許容されるかわからず不安で、誰にも言わず完結まで書き渡して、編集者から評価され安心した。〔『まるごと宮部みゆき』「宮部みゆきロングインタビュー」 P.144・145 朝日新聞社 2002年8月〕 週刊文春ミステリーベスト10で第1位になったほか、各誌紙で称賛する書評が寄せられ、第108回直木三十五賞候補となり、「出色のミステリー」「謎解きの面白さは抜群」(田辺聖子)、「大いに感心し、選考という立場を忘れて夢中で読んだ」(井上ひさし)など好意的な意見が寄せられたが、「お遊びの小説」「心を打つものとはなりえない」(渡辺淳一)といった否定的な意見のほか、選評を一行も書かなかった選考委員もおり、また本作を評価していた陳舜臣や藤沢周平が選考会を欠席するなど不運が重なり受賞には至らなかった。第6回山本周五郎賞受賞。「このミステリーがすごい!」ベスト・オブ・ベスト第1位。2008年(平成20年)に賞創設から20年間の1位に輝いた。 書評家の青木知恵は、小説そのものの面白さだけでなく、生き急ぐ現代女性の姿を見つめて共感を得、ミステリに新しい女性読者を呼び寄せたと評価している〔池上冬樹編『ミステリ・ベスト201日本編』新書館 (MYSTERY HANDBOOK) 、1997年 ISBN 4403250297〕。 作中で、関根彰子の破産手続きをした「溝口悟郎弁護士」は、実在の弁護士、宇都宮健児がモデルで、宮部が企業破産対応の経験しかなく個人破産がわからず〔、3時間ほど多重債務問題を取材し、溝口のセリフは、取材時の宇都宮健児のものである〔『反貧困―半生の記』宇都宮健児 所収「対談 宮部みゆき」花伝社 2009年10月〕。 旧大阪球場の住宅展示場は、テレビのクイズ番組で見て知って、これは大阪へ取材したが、土地勘がなく高村薫に協力を得て案内してもらい、家の外観や照明灯との後景などの話も聞いてもらい意見をもらった〔。風俗店については、法律事務所は新宿歌舞伎町にあり、顧問になっている店も風俗店が多かったが、それで知ったことは直接には書いていない、としている〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「火車 (小説)」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 All She Was Worth 」があります。 スポンサード リンク
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